症例報告
頸胸境界部食道に発生したsm類基底細胞癌の1切除例
金子 雅宏, 大杉 治司, 竹村 雅至, 李 栄柱, 田口 伸一, 田中 芳憲, 福原 研一朗, 藤原 有史, 西澤 聡, 木下 博明
大阪市立大学大学院消化器外科
症例は64歳の男性.平成14年1月初旬より嚥下困難が出現し,食道造影で頸胸境界部食道の右側に約2.5 cmの隆起性病変を認め,上部消化管内視鏡検査では,門歯列より約20 cmの食道右壁に1pl型の隆起性病変を認めた.CT,超音波検査では明らかなリンパ節転移,血行性転移は認めなかった.以上より,T2N0M0,Stage IIの頸胸境界部食道癌と診断し,平成14年5月8日に胸腔鏡下食道切除術および3領域リンパ節郭清術を施行した.腫瘍は肉眼的に径22×16 mm,1pl型で,病理組織診断では類基底細胞癌であった.深達度はsmでly0,v1,pN0,pStage Ibであった.類基底細胞癌は非常にまれであり,予後不良とされている.リンパ節転移のない表在型は予後がよいとの報告もあるが,頸胸境界部食道に発生した表在型類基底細胞癌は本邦では報告例がなく,また細胞増殖能が高いことより再発に留意し経過観察中である.
索引用語
basaloid carcinoma, cervico-thoracic esophagus
日消外会誌 36: 1167-1172, 2003
別刷請求先
金子 雅宏 〒545-8585 大阪市阿倍野区旭町1-4-3 大阪市立大学大学院医学研究科消化器外科
受理年月日
2003年2月26日
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