症例報告
幽門側胃切除によって腫瘍の消退が得られたA型胃炎に伴う多発胃カルチノイドの2例
佐竹 信祐, 伊舎堂 用大, 中井 玲子, 迎山 恭臣, 前田 盛*
国立療養所兵庫中央病院外科
神戸大学大学院医学系研究科生体情報医学講座分子病理学分野*
A型胃炎に伴う多発胃カルチノイドの2例に対する治療として幽門側胃切除を行った.入院時の胃内視鏡検査では,胃体および胃底部の萎縮性胃炎を背景として,同部の多発する小隆起性病変を認め,生検にてカルチノイドと診断された.また,血中ガストリン値の異常高値および抗胃壁細胞抗体陽性が認められた.ガストリンの過剰分泌を抑制して腫瘍を消退させることを目的として幽門側胃切除を行った.これにより2例とも術後の血中ガストリン値は正常化し,術後の胃内視鏡による経過観察および生検にて腫瘍の消退が確認された.
索引用語
gastric carcinoid, type A gastritis, distal gastrectomy
日消外会誌 36: 1173-1177, 2003
別刷請求先
佐竹 信祐 〒669-1515 三田市大原1314 国立療養所兵庫中央病院外科
受理年月日
2003年2月26日
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