症例報告
膵頭部に発生したいわゆる癌肉腫の1例
金住 直人, 鈴木 祐一, 本山 彩, 小林 大介, 加藤 公一, 横井 一樹, 木村 次郎, 村瀬 貴幸*, 石井 正大
岡崎市民病院外科, 名古屋市立大学医学部第2病理学教室*
症例は77歳の男性.腹部膨満感にて近医受診し,腹部USにて膵頭部に5 cm大のlow echoic tumorを認め当院紹介となる.腹部CTでは膵頭部から十二指腸下行脚に内部壊死を伴う腫瘍を認めた.膵頭部腫瘍あるいは十二指腸粘膜下腫瘍の術前診断にて,膵頭十二指腸切除術を施行した.膵頭部から十二指腸粘膜下に6×7×4.5 cmの腫瘍を認めた.病理組織検査では腺腔を形成する腺癌と多形性の肉腫を認め,膵原発のいわゆる癌肉腫との診断を得た.予後は極めて不良で切除後約2か月で多発肝転移にて死亡した.ごくまれな膵頭部より発生したいわゆる癌肉腫を経験した.いわゆる癌肉腫について本邦報告例の9例を含め,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語
carcinosarcoma, pancreas
日消外会誌 36: 1199-1204, 2003
別刷請求先
金住 直人 〒444-8553 岡崎市高隆寺町字五所合3-1 岡崎市民病院外科
受理年月日
2003年2月26日
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