症例報告
腸重積で発見された腸結核症の1例
伊藤 寛晃1)2), 田中 修二1), 木原 一1), 廣田 正樹1), 馬場 洋一郎3), 畠山 勝義2)
新潟県立六日町病院外科1), 新潟大学大学院医歯学総合研究科機能再建医学講座消化器・一般外科学分野2), 新潟大学大学院医歯学総合研究科遺伝子制御講座分子・診断病理学分野3)
症例は57歳の女性.右下腹部痛を訴え,同部に可動性腫瘤を触知した.腹部超音波でmultiple concentric ring signを,腹部CTでtarget signを認めた.緊急手術を行い回腸―上行結腸型順行性腸重積を確認した.Hutchinson手技による整復時,先進部回腸の腸間膜反対側に径3 cmの軟結節を触知,内腔に隆起し可動性不良,粘膜から固有筋層以深の病変と推定された.前後に同様の結節を5個触知した.回腸間膜に軟リンパ節,小結節が多数存在,採取した.病理組織所見は,リンパ節内にglanulomaの癒合,類上皮細胞とLanghans型巨細胞を含む乾酪性肉芽腫が多数みられ,あるものは融合していた.細菌学的検査で,リンパ節好酸菌培養陽性,胃液結核菌DNA陽性であった.回腸結核病巣が先進部となって腸重積を起こすという,極めてまれな合併症で発見された腸結核症の1例を経験したので報告した.
索引用語
tuberculosis, intestinal tuberculosis, intussusception
日消外会誌 36: 1227-1231, 2003
別刷請求先
伊藤 寛晃 〒959-3193 新潟県岩船郡荒川町大字下鍜冶屋589 新潟県立坂町病院外科
受理年月日
2003年2月26日
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