症例報告
強皮症のステロイド治療中にS状結腸穿孔をきたした腸結核の1手術例
梶原 正俊, 小西 豊, 梶原 建熈
神戸市立中央市民病院外科
症例は65歳の女性.13年前に強皮症と診断され,プレドニン20 mg内服中.38℃台の熱発を主訴に近医を受診.感染徴候に乏しいことから強皮症の増悪を考え,ステロイドパルス療法を施行された.3日目の夜に突然の左下腹部痛が出現.腹部X線にてfree airを認め,消化管穿孔の診断にて当院転送となった.同日,緊急開腹術を施行したところ,S状結腸に直径約8 mmの穿孔を認め,S状結腸部分切除術を施行した.切除標本では穿孔部を中心とした潰瘍を認め,病理診断の結果,抗酸菌陽性の肉芽腫性病変から腸結核と診断された.術後の大腸内視鏡検査で回盲部から上行結腸にかけて輪状潰瘍が確認された.腸結核の穿孔は比較的まれではあるが,とくにステロイド長期投与例では消化管穿孔の鑑別に挙げるべき疾患である.
索引用語
colonic tuberculosis, perforation, corticosteroid therapy
日消外会誌 36: 1232-1236, 2003
別刷請求先
梶原 正俊 〒650-0046 神戸市中央区港島中町4-6 神戸市立中央市民病院外科
受理年月日
2003年2月26日
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