症例報告
直腸原発GIPACTの手術計画にmultislice CTの多断面再構成像,3次元画像が有用であった1例
岡本 規博, 丸田 守人, 前田 耕太郎, 佐藤 美信, 升森 宏次, 小出 欣和, 松本 昌久, 青山 浩幸
藤田保健衛生大学医学部外科
直腸gastrointestinal pacemaker cell tumor(GIPACT)は,GISTの1つでまれな疾患であり,小骨盤内に発生すると手術操作が困難なことが多い.著者らはGIPACTの術式選択,腫瘍への到達法の決定にマルチスライスCT(MSCT)の多断面構成像(MPR)および3次元画像(3D)が,有用であった1例を経験したので報告する.症例は36歳の男性で,排便困難を主訴に来院し,精査にて直腸粘膜下腫瘍と診断された.術前に施行したMSCTのMPRにて任意の断面で腫瘍および周囲組織を観察し,3Dにて腫瘍と骨盤内臓器との関係をシミュレーションし,術式および到達法を検討した.術式は超低位前方切除術,経肛門吻合,一時的人工肛門造設術を施行した.腫瘍細胞はc-kit,CD-34に陽性で平滑筋アクチン,S-100には陰性でありGIPACTと診断された.術後の経過は良好で再発を認めていない.
索引用語
gastrointestinal pacemaker cell tumor, multi-slice computed tomography, gastrointestinal stromal tumor
日消外会誌 36: 1237-1241, 2003
別刷請求先
岡本 規博 〒470-1192 豊明市沓掛町田楽ケ窪1-98 藤田保健衛生大学医学部外科
受理年月日
2003年2月26日
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