症例報告
十二指腸乳頭部に発生した腺内分泌細胞癌の1例
輿石 直樹, 井出澤 剛直, 井上 亜矢子, 熊田 哲, 柴 修吾, 渡邊 美穂, 瀧川 拓人, 岡崎 護, 木嶋 泰興, 冨永 邦彦*
竹田綜合病院外科,同 病理科*
症例は77歳の男性.体重減少を主訴に入院となった.精査にて,Vater乳頭部の未分化型腺癌との診断になり,膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は露出腫瘤型で,深達度はOddi筋までであった.主座は小型腫瘍細胞がシート状に増殖し,粘膜側に腺癌構造伴っており,免疫組織学的検索においてNSEとchromogranin Aは陽性で,desminとS-100蛋白は陰性で,腺内分泌細胞癌と診断した.腺内分泌細胞癌は腺癌から分化を伴ったものとされており,その悪性度は高く,比較的小さな病変で診断・治療されても,予後不良とされている.本症例も術後14か月で多発性肝転移のため死亡した.十二指腸乳頭部原発の腺内分泌細胞癌の本邦での報告は自験例を含め14例とまれである.本邦報告例とともに文献的考察を加え報告する.
索引用語
adenoendocrine cell carcinoma, papilla of Vater, pancreaticoduodenostomy
別刷請求先
輿石 直樹 〒965-8585 会津若松市山鹿町3-27 財団法人竹田綜合病院外科
受理年月日
2003年7月23日
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