症例報告
閉塞性黄疸,門脈への強固癒着を認めた膵漿液性嚢胞腺腫の1例
白潟 義晴, 吉冨 摩美, 池袋 浩二, 澤田 尚, 糸井 和美, 福山 学, 西川 秀文, 水野 恵文, 牧野 尚彦
兵庫県立尼崎病院外科
症例は68歳の女性.腹痛と褐色尿出現し近医を受診した.膵腫瘍と閉塞性黄疸を指摘され当院へ紹介された.腹部造影CT検査にて膵頭部に内部が不均一に造影される最大径4 cmの腫瘍とこれに連続して門脈に接する嚢胞様病変,胆道造影にて総胆管末端での完全閉塞,を認めた.血管造影にて膵頭部における著明な腫瘍濃染と4 cm長に及ぶ門脈の狭窄像を認めたため,悪性腫瘍を否定できず手術を施行した.膵頭部に4 cmの弾性硬の腫瘍とこれに連続して膵外に突出し門脈に強固に癒着する3 cmの腫瘍を認め門脈とは剥離不可能で膵頭十二指腸切除とともに4 cmの門脈を合併切除し門脈再建を施行した.病理組織診断は膵漿液性嚢胞腺腫で悪性像を認めなかった.術後経過は良好であった.膵漿液性嚢胞腺腫は従来良性疾患とされ切除に門脈合併切除を要したのは極めてまれであり,また本症例は肉眼形態も極めてまれと考えられた.文献的考察を加え報告した.
索引用語
obstructive jaundice, severe adhesion to the portal vein, serous cystadenoma of the pancreas
別刷請求先
白潟 義晴 〒660-0828 尼崎市東大物町1-1-1 兵庫県立尼崎病院外科
受理年月日
2003年7月23日
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