症例報告
まれな脾仮性嚢胞破裂の1例
小野 文徳, 小野地 章一, 吉田 節朗, 内山 哲之
仙北組合総合病院外科
症例は71歳の男性.約20年前に背部打撲により脾損傷と診断され,保存的に加療されたことがある.その後は特に外傷の既往はない.また,3年前頃から心房細動のためアスピリンを服用しており,半年前に脳梗塞を発症している.脳梗塞後のリハビリにて近医入院中,腹部CT検査にて脾嚢胞を指摘された.その1週間後,突然の左側腹部痛とショック症状を呈したため当院に搬送された.腹部CT検査および腹腔穿刺にて脾破裂による腹腔内出血と診断し,緊急手術を施行した.腹腔内に多量の凝血塊と血性腹水を認めるとともに,脾には仮性嚢胞とその破裂が認められ,外側は横隔膜,大網と強固に癒着していた.病理組織検査では,外傷性変化とともに,新旧の壊死巣・出血巣が混在した脾梗塞の所見を認めた.本症例の脾破裂の直接原因は脾梗塞と考えられたが,外傷性変化,抗凝固薬の服用も影響したものと考えられた.
索引用語
splenic pseudocyst, splenic rupture, splenic infarction
別刷請求先
小野 文徳 〒014-0027 大曲市通町1-30 仙北組合総合病院外科
受理年月日
2003年7月23日
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