症例報告
虫垂原発低分化腺癌の1例
白井 量久, 深田 伸二, 伊藤 直史, 山口 竜三, 向山 博夫, 成田 道彦*
愛知県厚生農業協同組合連合会加茂病院外科,同 病理科*
虫垂原発の癌はまれで,特に虫垂原発低分化型癌の報告例は少ない.今回我々は虫垂腫瘍を疑い手術を施行し,術後病理所見から低分化腺癌と診断した1症例を経験したので報告する.症例は63歳の女性.右下腹部に限局した疼痛を訴え当院を受診した.腹部超音波検査で右側腹部に52×32 mm大のhypoechoic massを認めた.腹部造影CT検査では,上行結腸外側に接する50×30×50 mmの辺縁に造影効果を認める内部は不均一な低吸収域のcystic massがあり虫垂腫瘍の診断で,結腸右半切除術(D3)を施行した.病理組織所見から虫垂原発低分化腺癌と診断した.術後1年6か月でCA19-9が185 U/mlと上昇したため精査したところ,右卵巣転移を認め,切除した.初回手術後2年9か月経過した現在,再発の徴候なく生存中である.
原発性虫垂癌は比較的まれな疾患であり,なかでも低分化腺癌は自験例を含め4例が報告されているのみであり,極めてまれである.
索引用語
appendiceal cancer, poorly differentiated adenocarcinoma
別刷請求先
白井 量久 〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学大学院医学研究科器官調節外科学
受理年月日
2003年7月23日
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