症例報告
CA19-9高値を示した成人Tailgut cystの1例
桐山 真典, 金井 道夫, 中村 從之, 大場 泰洋, 濱口 桂, 小松 俊一郎, 山田 英貴, 小出 史彦, 渡辺 芳雄
春日井市民病院外科
症例は58歳の女性.主訴,CA19-9高値.検診腹部超音波検査で総胆管の拡張を指摘され,当院受診した.血液検査でCA19-9 160 U/mlと高値であるものの,MRCP・CTでは特に異常なく経過観察とした.その後さらにCA19-9が上昇したため再施行したCTで前仙骨部の腫瘤影を認めた.注腸検査で直腸後壁の壁外性圧排像を認めた.直腸超音波内視鏡検査では,同部位に比較的均一な内部エコーを持つ多房性腫瘤を認めた.直腸後壁粘膜下腫瘍を疑い,経仙骨的直腸切除術を行い腫瘤を切除した.組織学的にTailgut cystと診断した.免疫染色では嚢胞壁はCA19-9陽性であった.
術後経過は良好で,CA19-9値は2週間後には正常化した.原因不明のCA19-9の上昇を認める症例では本疾患も疑う必要があると思われた.
索引用語
Tailgut cyst, presacral cyst, CA19-9
別刷請求先
桐山 真典 〒486-8510 春日井市鷹来町1-1-1 春日井市民病院外科
受理年月日
2003年7月23日
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