総説
食道小細胞癌の1切除例と文献報告例の検討
杉浦 功一, 小澤 壯治, 北川 雄光, 岡本 信彦, 清水 芳政, 矢野 和仁, 北島 政樹
慶應義塾大学外科
食道小細胞型未分化癌(以下,食道小細胞癌)は比較的まれとされる疾患であり,予後はきわめて不良である.現在,標準治療は確立されていない.今回われわれは,健診で早期に発見され,増殖経過を観察しえた食道小細胞癌の1切除例を報告するとともに,文献報告例より治療法と予後について検討した.自験例はリンパ節および遠隔転移がない表在癌で,術後8か月経て無再発生存中である.文献報告例では,全症例(n=183)の5年生存率は9%,50%生存期間は6か月であった.M0群(n=106)はM1群(n=50)よりも予後が良好であった(p=0.004).N0M0群(n=28)とN1M0群(n=57)では予後に差はなかった(p=0.15).M0症例では,集学的治療群(n=31)は他の治療法群(n=67)よりも予後が良好であった(p<0.0001).食道小細胞癌では,集学的治療を行った場合に最も予後がよく,自験例でも術後補助療法の追加を検討中である.
索引用語
esophageal carcinoma, small cell carcinoma
別刷請求先
杉浦 功一 〒160-8582 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科(一般消化器外科研究室)
受理年月日
2003年9月24日
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