症例報告
十二指腸乳頭部内分泌細胞癌の1切除例
三浦 勝, 森 隆太郎, 高橋 徹也, 小尾 芳郎, 山中 研, 阿部 哲夫, 小林 大輔*, 中村 恭一*
横浜赤十字病院外科, 同 病理部*
内分泌細胞癌は悪性カルチノイド腫瘍ともいわれ,従来の古典的カルチノイドとは区別されている.今回,まれな十二指腸Vater乳頭部原発の内分泌細胞癌を経験したので報告する.症例は66歳の女性で,発熱,腹痛を主訴に来院し,血中アミラーゼ高値および肝機能異常を認めた.CT上膵頭部に腫瘤形成を呈し,上部消化管内視鏡ではVater乳頭部に,中心に陥凹を有する隆起性病変を認め,生検でVater乳頭部未分化癌または内分泌細胞癌の診断にて,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後病理学的にグリメリウス染色およびクロモグラニン染色陽性で,内分泌細胞癌と診断した.術後早期にリンパ節再発,肝転移を認め,術後75病日に死亡した.Vater乳頭部原発の内分泌細胞癌は会議録を含め本邦報告17例とまれであるが,予後は極めて不良とされている.本症例も腫瘍部でのKi-67染色が約50%陽性と,高頻度の細胞増殖を認め,内分泌細胞癌の悪性度を裏付ける症例であった.
索引用語
endocrine cell carcinoma, papilla Vater, duodenum
別刷請求先
三浦 勝 〒231-0836 横浜市中区根岸町2-85 横浜赤十字病院外科
受理年月日
2003年9月24日
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