症例報告
大量出血により緊急手術を施行したCrohn病の5例
小山 基, 森田 隆幸, 村田 暁彦, 佐々木 睦男
弘前大学第2外科
大量下血により緊急手術を施行したCrohn病の5例を経験したので報告する.内訳は男性4例,女性1例.手術時の平均年齢は25.8歳,病型別では小腸型2例,小腸大腸型2例,大腸型1例であった.緊急手術時の下血量は平均3,100 mlで,血圧を維持するために必要とした輸血量は平均2,040 mlであり,2症例でショック状態を呈した.術前検査および術中所見で出血点が同定できなかった1症例で,術中大腸内視鏡検査を施行した.切除範囲は出血点を含む主要病変部の小範囲切除とした.切除標本所見では地図状~不整形の深い潰瘍底からの出血が特徴的であり,組織学的にUL-II~IVの潰瘍および裂溝形成が認められた.潰瘍底近傍に中等度の動脈がみられ,潰瘍底血管の破綻が大量下血の原因であった.若い年代に発症した下血症例で,内視鏡的に地図状~不整形の深い潰瘍形成が認められる場合は,大量下血を引き起こす危険性があることを念頭に,治療にあたるべきである.
索引用語
Crohn's disease, massive bleeding, emergent operation
別刷請求先
小山 基 〒036-8562 弘前市在府町5 弘前大学第2外科
受理年月日
2003年9月24日
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