症例報告
回腸癌穿通による上行結腸腸間膜内膿瘍の1例
自見 政一郎, 佛坂 正幸, 松本 伸二, 佐伯 修治, 永井 俊太郎, 青木 康明, 岩本 昭三*, 濱田 哲夫**, 武田 成彰
国立小倉病院消化器病センター外科, 岩本内科*, 産業医科大学第2病理**
症例は51歳の男性で,心窩部痛,右下腹部痛を訴えて受診した.右下腹部に腹膜刺激症状を認め,白血球12,400/μl,CRP 10.3 mg/dlと炎症所見を呈していた.CT検査では,回腸末端,盲腸,上行結腸の腸管壁の肥厚を認めた.急性虫垂炎穿孔,腹腔内膿瘍の疑いで開腹手術を施行した.開腹すると回腸末端と上行結腸の間の腸間膜に手拳大の腫瘤を認めたため,回盲部切除を行った.切除標本では回腸末端に潰瘍性病変を認め,その部から穿通し,回腸末端と上行結腸の間の腸間膜内に膿瘍を形成していた.病理組織検査で潰瘍性病変は中分化腺癌と診断された.盲腸周囲膿瘍の原因として極めてまれな回腸癌穿通の1例を報告した.
索引用語
small intestinal cancer, penetration, mesenteric abscess
別刷請求先
自見政一郎 〒889-1692 宮崎県宮崎郡清武町大字木原5200 宮崎大学医学部第1外科
受理年月日
2003年9月24日
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