症例報告
膵炎による大腸狭窄の2例
高橋 健治, 柏原 瑩爾
北川病院外科
症例1は42歳の男性で,6年前に急性膵炎でドレナージ手術を受けた.発熱を伴う腹痛が出現し,腹部CTで膵周囲の浸出液貯留があり,注腸造影検査で下行結腸脾彎曲部の狭窄を認めた.保存的治療により症状は軽快し,大腸狭窄も改善した.症例2は62歳の男性で,1年8か月前に急性膵炎で絶食点滴治療を受けた.10日前より腹満を生じ,急激な腹痛のため緊急入院となった.胸腹部単純X線で大量のfree airを認め,緊急手術を行った.膵炎による下行結腸の狭窄のため横行結腸に穿孔を起こしていた.腹腔洗浄ドレナージと穿孔部の人工肛門造設術を行った.術後も狭窄部の改善は認められなかった.膵炎発症後は大腸狭窄にも留意し,また大腸の狭窄病変の鑑別診断には,膵炎による狭窄も念頭に置く必要があると思われた.
索引用語
colon stenosis, colon perforation, pancreatitis
別刷請求先
高橋 健治 〒721-0952 福山市曙町3-19-18 楠本病院外科
受理年月日
2003年9月24日
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