臨床経験
メッシュを用いた腹壁瘢痕ヘルニアの治療
長江 逸郎, 土田 明彦, 田辺 好英, 高橋 総司, 湊 進太朗, 青木 達哉, 小柳 泰久
東京医科大学外科学第3講座
当科では1996年以降,腹壁瘢痕ヘルニア症例に対してメッシュによる腹壁修復術を導入し,現在ではほぼ全例に対してメッシュを使用している.1996年以前は,主に単純閉鎖法を行っていたが,1996年以降はMarlex meshを導入,腹膜の修復が困難な症例に対しては癒着防止用のePTFE面を有するComposix meshの使用を開始した.また,ヘルニア門の小さい症例に対しては鼠径ヘルニアに使用されているProlene hernia system(以下,PHSと略記)による修復術を行ってきた.しかし,ヘルニア門が4 cm以上の2症例にPHSを使用した際,術後半年にメッシュが塊状となり突出が認められた.ヘルニア門が3 cm以下の症例では異常がみられなかったことから,ヘルニア門が3 cm以上の症例にはPHSを使用しないことを基本とした.現在までのところメッシュ使用症例に関しては感染,再発はない.今後,メッシュの使用方法を確立していけば腹壁癜痕ヘルニアに対するMesh repairは基本術式になりうると考える.
索引用語
incisional hernia, composix mesh, prolene hernia system
別刷請求先
長江 逸郎 〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-7-1 東京医科大学病院
受理年月日
2003年9月24日
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