症例報告
胃癌開腹手術後に四肢に一過性の神経麻痺を認めた2症例の検討
三吉 範克, 藤原 義之, 瀧口 修司, 宮田 博志, 安田 卓司, 矢野 雅彦, 門田 守人
大阪大学大学院病態制御外科
胃癌にて開腹手術を施行した2症例に,術直後より,それぞれ一過性の腕神経叢麻痺,腓骨神経麻痺を認めた症例を経験した.症例1:50歳の男性で,開腹手術後より両側足背部のしびれ感および両下腿の運動障害を認めた.Vit B12を投与し理学療法を行い,1か月後,足関節の背屈困難もほとんど消失し退院となった.症例2:46歳の男性で,開腹手術直後より両上肢の知覚および運動麻痺を認めた.ステロイド,Vit B12を投与し理学療法,星状神経節ブロックを行った結果,術後6か月で全治した.術中の体位による合併症として,まれに腓骨神経麻痺,腕神経叢麻痺が挙げられる.その発生要因としては,術中肢位による神経の過伸展,圧迫が主なものと考えられている.今回われわれは,胃癌手術後に総腓骨神経麻痺および両側腕神経叢麻痺をきたした症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
索引用語
surgical resection for gastric cancer, brachial plexus palsy, peroneal nerve palsy
別刷請求先
三吉 範克 〒537-8511 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター消化器外科医局
受理年月日
2003年12月19日
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