症例報告
閉塞性黄疸で発症した胆管内発育型肝細胞癌の1例―最近の切除報告19例の検討―
長佐古 良英, 三澤 一仁, 渡辺 正明, 大黒 聖二, 長谷川 公治, 小橋 重親, 大川 由美, 佐野 秀一
市立札幌病院外科
症例は58歳の男性で,黄疸を主訴に来院した.腹部CT検査で肝内側区域に辺縁部が造影される直径4 cmの腫瘤陰影と,これに連続して左肝管から総肝管内に均一に造影される腫瘍栓が描出された.ENBD tubeより行った胆道造影において肝管内に辺縁平滑で柔らかい透亮像を認めた.胆管細胞癌の術前診断で肝左葉切除,肝外胆管切除および胆管内腫瘍栓摘出術を施行したところ,病理組織学的に胆管内へ連続性に進展する中分化型肝細胞癌と診断された.最近4年間の本邦切除報告19例の検討では,術前診断に際してPIVKA-IIが有用な指標となること,閉塞性黄疸の鑑別診断の1つとして本症を念頭に置き早期発見を行うこと,また系統的な肝切除を行い肝外胆管切除も併施することによって予後の向上が期待されることが重要な知見と考えられた.
索引用語
hepatocellular carcinoma invading the biliary tract, obstructive jaundice
別刷請求先
長佐古良英 〒060-8604 札幌市中央区北11条西13丁目 市立札幌病院外科
受理年月日
2003年11月26日
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