原著
大腸癌術後1年間のQOLの解析
角田 明良, 中尾 健太郎, 高田 学, 神山 剛一, 平塚 研之, 山崎 勝雄, 鈴木 直人, 林 征洋, 保田 尚邦, 草野 満夫
昭和大学一般・消化器外科
はじめに:大腸癌患者術後のquality of life(以下,QOL)を信頼性と妥当性の確認されたQOL調査票で前向きに解析した研究は少ない.本研究の目的は術後12か月間の経時的なQOLを評価し,術後1年におけるQOLを予測する因子を明らかにすることである.方法:根治度Aの手術が行われた大腸癌患者46名を対象に,European Organization for Research and Treatment of Cancer(以下,EORTC)のQOL調査票であるEORTC QLQ-C30日本語版を用いて,術後12か月間のQOLを前向きに評価した.また,術後1年のQOLを予測する因子を解析した.結果:各尺度の経時的変動をみると,global QOLは術後1か月で最低値を示し,術後6か月以降で改善した.emotional functionは術前と比べて術後2か月以降で改善した.fatigueとpainは術後1か月で最低値を示し,おのおの術後7か月以降と2か月以降で改善した.術後1年のQOLの予測因子として,雇用,リンパ節転移,stomaの有無の3つが重要な因子であった.考察:大腸癌患者の術後1年間のQOLで有意の変動を示したのはglobal QOL,emotional function,fatigue,painの4つの尺度であった.雇用,リンパ節転移,stomaの有無は術後1年のQOLの重要な予測因子であった.
索引用語
colorectal cancer, quality of life
日消外会誌 37: 1603-1609, 2004
別刷請求先
角田 明良 〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8 昭和大学第2外科
受理年月日
2004年4月28日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|