症例報告
膵中央切除術で5年生存が得られた膵体部小膵管癌の2例
飛田 浩輔, 今泉 俊秀, 大谷 泰雄, 石井 正紀, 柏木 宏之, 堂脇 昌一, 杉尾 芳紀, 石過 孝文, 鬼島 宏*, 幕内 博康
東海大学医学部外科学系消化器外科学, 同 基盤診療学系病理診断学*
われわれは,膵中央切除術を施行し5年生存が得られた小膵癌2例を経験した.症例1:72歳の女性で,心窩部痛で来院し超音波検査で膵体部腫瘤が指摘された.精査の結果,小膵癌と診断,膵中央切除術を施行.病理診断は中分化型管状腺癌,stage Iであった.術後5年7か月無再発生存中である.症例2:68歳の男性で,無症状にて検診超音波検査で膵管拡張と膵腫瘍が指摘され来院した.精査の結果.膵体部小膵癌と診断,膵中央切除術を施行,病理診断は中分化型管状腺癌,stage IV aであったが術後5年3か月無再発生存中である.従来,予後不良な膵管癌では,脈管侵襲,膵外進展および転移率の高さから,小膵癌でも拡大手術を求める傾向があるが,縮小手術でも長期生存する症例もある.TSP-1,EGFRなどの癌増殖転移関連因子の発現の有無を検討することは,拡大手術を避け,縮小手術の可能性を示唆するものと考えられた.
索引用語
small pancreatic cancer, middle pancreatectomy, 5-year survival
日消外会誌 37: 1754-1760, 2004
別刷請求先
飛田 浩輔 〒259-1193 伊勢原市望星台 東海大学医学部外科学系消化器外科学
受理年月日
2004年4月28日
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