症例報告
傍ストーマの腹壁破裂により腸管脱出をきたした人工肛門の1例
藤 信明, 谷口 弘毅, 天池 寿, 岡 克彦, 稲葉 一樹, 内藤 和世
京都府立与謝の海病院外科
人工肛門造設術後の後期合併症としては,狭窄,傍ストーマヘルニア,腸脱出(人工肛門からの翻転脱出)などがある.今回,傍ストーマの腹壁破裂により小腸脱出を認めた極めてまれな合併症を経験した.症例は86歳の男性で,1997年8月にイレウスに至ったS状結腸癌に対して緊急にてハルトマン手術を施行されていた.再発や合併症なく外来通院中の2002年12月,腹痛を主訴に本院救急受診した,左側腹部のストーマに接した腹壁が破裂し小腸脱出および絞扼状態となっており,緊急手術にて絞扼小腸切除および人工肛門再造設術を施行した.ストーマ近傍の創感染を合併したが,保存的に軽快した.今回のような傍ストーマの腹壁破裂により小腸脱出を認めた後期合併症は,本邦での報告例がなく,また致命的になりうる合併症であるといえる.
索引用語
stoma, complication, abdominal rupture
別刷請求先
藤 信明 〒629-2261 京都府与謝郡岩滝町男山481 京都府立与謝の海病院外科
受理年月日
2004年7月28日
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