症例報告
胃癌・大腸癌術後の食道癌に対する根治的化学放射線療法後に食道salvage手術を施行した1例
塩見 明生, 西村 光世, 大幸 宏幸, 吉田 純司, 斎藤 典男1), 落合 敦志2), 永井 完治
国立がんセンター東病院胸部外科, 同 大腸骨盤外科1), 国立がんセンター研究所支所2)
症例は60歳代後半の男性で,60歳時に上行結腸癌に対し結腸右半切除術,66歳時に胃癌に対し幽門側胃切除術の既往を持つ.67歳時に嚥下困難が出現し精査したところ胸部食道癌と診断された.根治的放射線化学療法(以下,根治的CRT)を施行し,腫瘍は完全寛解した.しかし,1年後局所再発およびリンパ節再発を来したため,食道癌salvage手術を行った.胃管または結腸での再建が不可能なため有茎空腸間置にて再建した.食道salvage手術では縫合不全などの合併症発生が多く,その安全性が特に問題となるが,我々は挙上空腸に血管吻合(スーパーチャージ)を置くなどの工夫により安全に手術を行いえた.このような胃癌・大腸癌術後の食道癌に対し根治的CRT後の食道salvage手術を行った報告はない.
索引用語
esophageal cancer, salvage surgery, reconstruction
日消外会誌 39: 1368-1373, 2006
別刷請求先
塩見 明生 〒277-8577 柏市柏の葉6-5-1 国立がんセンター東病院胸部外科
受理年月日
2006年2月22日
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