症例報告
リンパ節転移を認めた小さな胃カルチノイド腫瘍の1例―術中センチネルリンパ節生検の有用性について―
添田 暢俊, 寺島 雅典, 木暮 道彦, 星野 豊, 樫村 省吾, 大谷 聡, 小田島 洋子, 五十嵐 崇, 後藤 満一
福島県立医科大学医学部第1外科
症例は59歳の女性で,健康診断の上部消化管内視鏡検査にて胃体中部大彎に約10 mmの隆起性病変を指摘され,生検にて胃カルチノイドと診断された.血液検査では血清ガストリン値が2,069 pg/mlと高値であった.超音波内視鏡検査では粘膜下層までの浸潤が認められた.胃カルチノイドの診断で手術を施行.術中色素法によるセンチネルリンパ節(sentinel node;以下,SNと略記)生検にて,SNがNo4dに2個同定され,1個に転移が認められた.幽門側胃切除術およびD2リンパ節郭清を施行した.病理組織検査にて腫瘍は長径9 mmで深達度がSM2であり,SNとして同定されたリンパ節以外にリンパ節転移は認めなかった.胃粘膜に慢性萎縮像は認めなかった.術後血清ガストリン値は正常化した.sm胃カルチノイドではsm胃癌と同等のリンパ節転移が認められることから,SN生検は術中の正確なリンパ節転移診断法として有用であると思われる.
索引用語
gastric carcinoid tumor, hypergastrinemia, sentinel node navigation surgery
日消外会誌 39: 1374-1379, 2006
別刷請求先
添田 暢俊 〒960-1295 福島市光が丘1 福島県立医科大学第1外科
受理年月日
2006年2月22日
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