症例報告
膵macrocystic serous cystadenomaの1例
二村 直樹, 鬼束 惇義*, 山田 卓也**, 関野 考史**, 松尾 浩**, 宮原 利行**, 木山 茂**
郡上市民病院外科, 岐阜赤十字病院外科*, 岐阜大学医学部高度先進外科**
単房性嚢胞の形態をしたmacrocystic serous cystadenoma(以下,MSCA)の1例を経験したので報告する.患者は26歳の女性で腹部腫瘤を主訴に受診し,左季肋下に径約5 cm大の腫瘤を触知した.膵炎や腹部外傷の既往はなく,血液検査では異常を認めなかった.腹部超音波検査,CT,MRIでは膵尾部に径約5 cm大の単房性嚢胞状腫瘤を認めた.ERPでは主膵管と嚢胞の交通は認めなかった.腹部血管造影検査では脾動脈が頭側へ圧排されていた.膵粘液性嚢胞腺腫を疑って手術を行った.膵尾部に手拳大の嚢胞状腫瘤を認め,膵尾部切除を行った.摘出標本では60×55×45 mm大の単房性嚢胞を認め,内容は黄色透明な漿液であった.病理組織検査では単房性の嚢胞で,嚢胞壁には異型のない1層の立方上皮がみられた.立方上皮はperiodic acid-shiff染色が陽性で,ジアスターゼによって消化された.以上の所見から,MSCAと診断した.
索引用語
serous cystadenoma, macrocystic, pancreatic cyst
日消外会誌 39: 1403-1407, 2006
別刷請求先
二村 直樹 〒501-4222 郡上市八幡町島谷1264 郡上市民病院外科
受理年月日
2006年1月25日
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