症例報告
DICを合併した直腸カルチノイド同時性巨大肝転移の1例
伊藤 勝彦, 柳沢 真司, 岡田 大介, 酒井 望, 宮崎 勝*
長野県立須坂病院外科, 千葉大学大学院臓器制御外科*
症例は65歳の男性で,検診にて肝障害を指摘されて当院へ紹介され,腹部CTにて肝左葉に巨大腫瘍を認めた.さらに,大腸内視鏡検査では直腸に粘膜下腫瘍を認め,生検結果はカルチノイドであった.直腸カルチノイド同時性肝転移の診断にて入院後,血液検査にて著明な血小板減少,FDPの上昇を認め,厚生労働省の播種性血管内血液凝固症候群(DIC)診断基準を満たしたため抗凝固療法を開始した.その後,血小板は上昇,FDPは低下したが巨大肝腫瘍が原因によりDICを来したと考えられたため,入院4週間後,血小板が16万/μlに上昇した時点で肝切除術を施行,病理はカルチノイド肝転移であった.肝左葉切除後,凝固系は著明に改善し正常となった.さらに,その4か月後に直腸カルチノイドに対して低位前方切除術を施行した.DICを併発した巨大肝腫瘍の手術は大量出血の可能性があるため,十分な検討が必要である.
索引用語
rectal carcinoid, giant liver metastasis, DIC
日消外会誌 39: 1440-1445, 2006
別刷請求先
伊藤 勝彦 〒286-8523 成田市飯田町90-1 成田赤十字病院外科
受理年月日
2006年1月25日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|