症例報告
腸重積を来し肛門外まで脱出した巨大結腸症の1例
金子 和弘, 冨田 広*, 牧野 春彦*, 畠山 勝義
新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野, 新潟県立坂町病院外科*
原因となりうる腫瘍性病変を伴わずに腸重積を来し,肛門外まで脱出した巨大結腸症の1例を経験したので報告する.症例は38歳の女性で,排便時に肛門からの腸管脱出を来し当院を受診した.直腸診で直腸壁は保たれていることから,直腸よりも口側の腸重積および肛門外脱出と診断し,緊急手術を施行した.腸重積を整復後,S状結腸を切除した.切除腸管に腸重積の原因となる腫瘍性病変は認められなかった.腸重積を来し肛門外まで脱出した症例は本邦では30例ほどが報告されており,すべて腸重積の原因となる腫瘍性病変を伴っていた.自験例は巨大結腸症で,腸重積の原因となる腫瘍性病変も伴っておらず,非常にまれな例であった.本症においては原因病変の有無を含めた的確な診断と,手術の際に無理な整復を行わないことが重要である.
索引用語
adult intussusception, megacolon, transanal prolapse
日消外会誌 39: 1623-1626, 2006
別刷請求先
金子 和弘 〒951-8510 新潟市旭町通1-757 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野
受理年月日
2006年3月22日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|