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第39巻 第10号 2006年10月 [目次] [全文 ( PDF 587KB)]
症例報告

腹部大動脈分岐部の内分泌細胞腫瘍が先行して発見された11 mmの直腸カルチノイドの1切除例

太田 博俊, 関 誠1), 柳沢 昭夫2), 二宮 康郎, 加藤 洋3)

要町病院付属消化器がんセンター, 癌研有明病院消化器外科1), 京都府立医科大学病理部2), 癌研究所病理部3)

 大動脈分岐部のendocrine cell tumorを契機に発見された直腸カルチノイドを治癒切除した5年後,下腹神経領域に再発し根治摘出できた1例を経験した.症例は43歳の男性で,大動脈分岐部に40 mm大の神経鞘腫と臨床診断し切除され,組織診断で内分泌細胞腫瘍と診断された.特殊染色法でもそれ以上の鑑別診断はできなかった.カルチノイドも視野に入れ精査の結果,2年後に径11 mmの直腸カルチノイドが発見され,リンパ節郭清を伴った神経温存低位前方切除を施行した.初回腫瘍は特殊染色再検でカルチノイドの転移と訂正された.5年後,仙骨前面に腫瘍出現しカルチノイドの再発を疑い,腫瘍摘出術をした.組織診は下腹神経に浸潤したカルチノイドの再発であった.45歳の年齢を考えず下腹神経合併切除すれば再発はなかったと考えられた.2006年1月現在再発の兆候なく健在であるが,十分な経過観察が必要である.

索引用語
rectal carcinoid, schwannoma, lymph node metastasis of bifurcation of abdominal aorta

日消外会誌 39: 1632-1637, 2006

別刷請求先
太田 博俊 〒171-0043 豊島区要町1-11-13 要町病院付属消化器がんセンター

受理年月日
2006年3月22日

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