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第39巻 第10号 2006年10月 [目次] [全文 ( PDF 624KB)]
症例報告

同時性多発肝転移,骨転移を来した直腸腺扁平上皮癌の1例

佐々木 健, 北薗 正樹, 永田 耕治, 夏越 祥次, 石澤 隆, 愛甲 孝

鹿児島大学大学院腫瘍制御学・消化器外科学, 同 人体がん病理学

 同時性多発肝・骨転移を認めた直腸腺扁平上皮癌を経験したので報告する.症例は73歳の女性で,便柱狭小化と腰痛を主訴に来院した.直腸Rs領域に半周性の3型病変を認め,生検で低分化腺癌と診断された.同時に遠隔リンパ節転移,肝両葉にわたる多発肝転移,第1仙椎への転移も認められた.局所に関しては出血,狭窄症状のコントロール目的でHartmann手術を施行した.病理組織学的検査で,直腸腺扁平上皮癌,Rs,Type3,ss,ly3,v3,n2,H3,P0,M1でStage IVと診断された.術後化学療法は大腸癌に準じて5-FUによる肝動注,CPT-11とl-LVによる全身化学療法および骨転移に放射線治療を行った.本疾患はまれで,いまだ確立された治療法はないが,多発転移を伴う直腸腺扁平上皮癌に対して今後,薬剤感受性試験や分子生物・遺伝子学的方法による補助療法の工夫が必要と考えられた.

索引用語
adenosquamous carcinoma, rectum, colon

日消外会誌 39: 1638-1642, 2006

別刷請求先
佐々木 健 〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘8-35-1 鹿児島大学大学院腫瘍制御学・消化器外科学

受理年月日
2006年3月22日

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