症例報告
18歳胃癌の1例
薄葉 輝之, 鈴木 旦麿, 山崎 一也*, 野尻 卓也*, 柏木 秀幸*, 矢永 勝彦*
守谷慶友病院外科, 東京慈恵会医科大学外科*
患者は18歳の男性で,心窩部痛,腹部膨満感を主訴に近医を受診し,胃癌と診断され当院に紹介となった.父親が35歳で胃癌により死亡したという家族歴があった.精査の結果,癌性腹膜炎によるイレウスと診断し,イレウス解除目的で手術を行った.イレウスの主な原因は胃癌の横行結腸間膜への直接浸潤および播種による狭窄であったため,手術は消化管バイパス術(回腸S状結腸吻合)を施行した.術後は特に合併症を認めず,外来にて化学療法を施行したが,徐々に状態が悪化し,術後16か月で亡くなった.本症例は以前に上部消化管内視鏡検査を行っていながら,癌の診断を得られず,5か月の無治療期間があった.本症例のように胃癌の家族歴を持つhigh risk群では年齢による先入観なく,症状に見合った検査を繰り返し行うことが肝要と考えられた.
索引用語
familial gastric cancer, young patient
別刷請求先
薄葉 輝之 〒105-8461 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学外科
受理年月日
2007年1月31日
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