症例報告
原発性胆汁性肝硬変を合併した肝細胞癌の1切除例
山中 潤一, 藤元 治朗
兵庫医科大学第1外科
原発性胆汁性肝硬変に肝細胞癌を合併する頻度は少なく,その切除例の報告はまれである.症例は79歳の男性で,原発性胆汁性肝硬変の経過観察中に肝腫瘍を指摘され精査加療目的で当科へ紹介入院となった.腹部造影CT早期相で濃染,後期相で低吸収域を示し,肝外側区域を占居する径13 cmの腫瘍を認めた.AFP,PIVKA-II高値を伴い,肝細胞癌と診断し,2004年3月肝外側区域切除を施行した.切除標本の病理組織学的検索で中分化型肝細胞癌を認め,非腫瘍部はScheuer II期の原発性胆汁性肝硬変像を呈した.原発性胆汁性肝硬変を合併した肝細胞癌の切除例はこれまでに9例が報告されており,記載のある8例でいずれも1年以上の生存が得られていた.自験例は治癒切除後28か月無再発生存中であり,原発性胆汁性肝硬変合併肝細胞癌においても積極的な治癒切除により良好な予後が得られる症例が存在すると考えられた.
索引用語
biliary cirrhosis, liver cancer, hepatectomy
別刷請求先
山中 潤一 〒663-8501 西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学第1外科
受理年月日
2006年10月25日
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