症例報告
外傷性脾損傷後に直腸膀胱窩に認めた脾症(splenosis)の1例
安藤 晴光, 柴田 佳久, 加藤 岳人, 鈴木 正臣, 平松 和洋, 吉原 基, 池山 隆, 鈴村 潔, 前多 松喜*
豊橋市民病院外科, 同 臨床病理科*
症例は68歳の男性で,19年前に外傷性脾損傷にて脾臓摘出術を受けていた.便秘にて近医受診し,大腸内視鏡検査から横行結腸癌と診断され当科紹介された.術前画像診断では横行結腸癌の他に直腸膀胱窩に約3 cm大の腫瘤を認めた.横行結腸癌,直腸粘膜下腫瘍の術前診断にて手術した.直腸膀胱窩腫瘤は,赤褐色で凹凸の在る腫瘤で直腸前壁の漿膜筋層から発生していたため腫瘤を直腸筋層とともに摘出した.結腸癌は治癒切除術を行った.直腸膀胱窩腫瘤は病理組織学的に脾組織であり19年前に外傷性脾破裂の既往があることから,直腸膀胱窩に散布着床した異所性脾である脾症(splenosis)と診断した.本症例のように外傷性脾破裂・脾摘術の既往のある症例では脾症を直腸膀胱窩腫瘤の鑑別診断に加えるべきと考えられた.
索引用語
splenosis, splenic injury, accessory spleen
別刷請求先
安藤 晴光 〒441-8570 豊橋市青竹町字八間西50 豊橋市民病院外科
受理年月日
2006年12月15日
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