症例報告
肺癌に合併したステロイド剤内服中に発症したFournier's gangreneの1例
安田 貴志1), 川崎 健太郎1)2), 市原 隆夫3), 森本 大樹1), 安藤 維洋1), 高瀬 至郎1), 神垣 隆1), 生田 肇4), 黒田 大介1), 黒田 嘉和1)
神戸大学大学院消化器外科1), 神戸大学病院光学診療部2), 西宮市立中央病院外科3), 市立加西病院外科4)
症例は59歳の男性で,3年前より切除不能肺癌に対し化学療法を施行していたがPDとなり,5か月前よりGefitinibの内服を開始した.3か月前より薬剤性間質性肺炎に対しステロイド剤を併用していた.2週間前からの肛門痛のため来院した.肛門周囲膿瘍との診断で切開排膿したが,疼痛範囲の左殿部から大腿後部への拡大を認めたため2日後入院となった.CTで同部の皮下軟部組織の腫脹と筋層内ガス像を認めたためFournier's gangreneと診断し,ただちに広範囲に切開,洗浄,デブリードメントおよびsetonドレナージを行った.細菌培養ではStaphylococcus epidermidisとE. coliの混合感染であった.術後第35病日に植皮術を行った.ステロイド治療中まれに肛門周囲膿瘍など比較的軽微な創傷からFournier's gangreneを合併することがあるため,本症例のように悪性腫瘍などの免疫機能低下を助長する疾患を持つ患者への投与時は注意が必要である.
索引用語
Fournier's gangrene, steroid, Gefitinib
別刷請求先
安田 貴志 〒650-0017 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学大学院消化器外科
受理年月日
2007年1月31日
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