骨髄異形成症候群に合併したAmyand's herniaの1例

境　雄大, 佐藤　浩一, 小笠原　紘志, 須藤　泰裕, 小柳　雅是, 田中　正則^＊

弘前市立病院外科, 同　臨床検査科^＊

　症例は骨髄異形成症候群と診断されている67歳の男性で，右鼠径部の腫脹と疼痛を主訴に近医を受診した．右鼠径ヘルニア嵌頓と診断され，当科に入院した．右鼠径部に3.5 cmの有痛性の腫瘤を認め，還納は困難であった．血液検査で汎血球減少症を認めた．全身麻酔下に手術を施行した．ヘルニア内容は虫垂であり先端部は絞扼され，暗赤色を呈していた．虫垂切除術を行った後，メッシュプラグ法を行った．摘出虫垂の病理組織学的検査所見は先端変色部に一致してびらんと漿膜炎を認めた．術後経過は良好で，術後8日目に軽快・退院した．鼠径ヘルニア内の虫垂嵌頓は比較的まれであり，Amyand's herniaと呼ばれる．自験例は汎血球減少を有する易感染性疾患に発症したAmyand's herniaであったが，創感染を生じることなく治癒した．

索引用語
inguinal hernia, vermiform appendix, myelodysplastic syndrome

別刷請求先
境　　雄大　〒036-8004　弘前市大町3-8-1　弘前市立病院外科

受理年月日
2006年11月22日

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