症例報告
ソマトスタチンアナログとプロトンポンプインヒビターの併用が有効であった難治性消化管皮膚瘻の2例
重田 英隆, 平松 和洋, 水上 泰延
JA静岡厚生連遠州病院外科
ソマトスタチンアナログ(サンドスタチン® somatostatin analogue;以下,SMS)とプロトンポンプインヒビター(proton pump inhibitor;以下,PPI)の併用が有効であった難治性消化管皮膚瘻の2例を報告する.症例1は87歳の女性で,上腹部痛を主訴に当院を受診した.十二指腸潰瘍穿孔による汎発性腹膜炎と診断され,充填術が施行された.第2病日より充填部のドレーンより消化液の排液を認め,難治性十二指腸皮膚瘻となった.SMSの投与に加え,PPIも併用すると排液量は急速に減少し,SMS投与後19日目に瘻孔は閉鎖した.症例2は65歳の男性で,上行結腸癌の診断で結腸右半切除術が施行されたが,第10病日にドレーン内容が混濁し縫合不全と診断された.第12病日よりドレーン部とは別の正中創より消化液の排液を認め,難治性回結腸吻合部皮膚瘻となった.SMSの投与に加え,PPIも併用すると排液量は急速に減少し,SMS投与後11日目に瘻孔は閉鎖した.
索引用語
somatostatin analogue, proton pump inhibitor, refractory enterocutaneous fistula
日消外会誌 41: 1723-1728, 2008
別刷請求先
重田 英隆 〒430-0929 浜松市中区中央1-1-1 JA静岡厚生連遠州病院外科
受理年月日
2008年2月20日
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