症例報告
食道内分泌細胞癌の1切除例
佐野 淳, 菊池 順子, 小林 義輝, 田口 洋, 横山 宗伯*
西東京警察病院外科, 東京警察病院病理*
食道内分泌細胞癌はまれな疾患で悪性度が高く予後は不良である.今回,その切除例を経験したので報告する.症例は56歳の男性で,約1か月前より出現した食後の心窩部痛にて当科を受診した.食道造影および内視鏡検査で胸部中下部食道に4 cmにわたって中心陥凹を伴う隆起性病変を認め,生検により未分化癌と診断された.遠隔転移,明らかなリンパ節転移,周囲組織への浸潤を認めず,胸腹部食道切除,3領域郭清,胸骨後胃管再建を施行した.腫瘍細胞は免疫染色でシナプトフィジン,クロモグラニンA,NSEに陽性であり,食道内分泌細胞癌,非小細胞型と診断され,pT2pN2M0,pStage IIIであった.術後,シスプラチンとエトポシドによる化学療法を4クール施行して37か月の無再発生存が得られた.手術は侵襲が大きいため慎重に選択しなければならないが,予後の向上には手術に加えて化学療法を中心とした集学的治療が有効と思われた.
索引用語
endocrine cell carcinoma of the esophagus, undifferentiated carcinoma of the esophagus, small-cell carcinoma of the esophagus
日消外会誌 41: 1898-1903, 2008
別刷請求先
佐野 淳 〒185-0023 国分寺市西元町4-8-1 西東京警察病院外科
受理年月日
2008年5月21日
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