症例報告
CA19-9産生巨大脾嚢胞破裂の1例
小林 和明, 鈴木 聡, 三科 武, 大滝 雅博, 二瓶 幸栄, 松原 要一
鶴岡市立荘内病院外科
まれなCA19-9産生巨大脾嚢胞の自然破裂発症例を経験したので報告する.症例は39歳の女性で,左側腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部CTにて脾臓をほぼ占居するような15×9 cm大の巨大な脾嚢胞と脾臓周囲に腹水を認めた.脾嚢胞破裂による腹膜炎の診断で緊急脾臓摘出術を施行した.脾嚢胞内面は白色調であり不規則,網目状の梁形成を認めた.術前血清CA19-9は7,490 U/mlと高値を示した.嚢胞内容液は茶褐色調でCA19-9が711,000 U/mlと異常高値を示し腹水の性状と同じであった.病理組織学的診断は上皮性嚢胞であり,嚢胞内面の大半は重層扁平上皮で覆われていた.免疫組織染色検査にて脾嚢胞被覆上皮はCA19-9陽性であった.手術後血清CA19-9値は速やかに正常化した.各種検査を施行したが,異常所見を認めなかった.
索引用語
splenic cyst, CA19-9, rupture
日消外会誌 41: 2058-2063, 2008
別刷請求先
小林 和明 〒951-8510 新潟市中央区旭町通1-757 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野
受理年月日
2008年5月21日
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