症例報告
幽門側胃切除術後過食を契機とした胃破裂の1例
大田 耕司, 栗田 啓, 棚田 稔, 小畠 誉也, 野崎 功雄, 久保 義郎, 高嶋 成光
国立病院機構四国がんセンター消化器外科
症例は67歳の男性で,胃癌の診断で幽門側胃切除術,D2リンパ節郭清術,Billroth I法による再建が施行され,14病日に軽快退院となった.25病日,すしを大量摂取した後に上腹部の激痛を訴え近医受診し,急性腹症にて当院紹介となった.来院時,腹部は板状硬で,CTでは上腹部を中心とした遊離ガスを認め,上部消化管穿孔の疑いにて緊急手術となった.開腹所見では,腹腔内には多量の無臭で混濁した腹水と米粒を認めた,胃は体上部大彎で長軸方向に約3 cmの裂創が認められた.同部に明らかな炎症所見や潰瘍の形成は認められなかった.また,胃十二指腸吻合部にも明らかな異常を認めなかった.破裂部を縫合閉鎖し,腹腔内を洗浄,ドレナージを行った.術後約2週の透視でも,胃十二指腸吻合部に明らかな狭窄は認められなかった.過食による過膨張のために起こった胃破裂と考えられた.幽門側胃切除後の胃破裂は報告がなく,若干の考察を加えて報告する.
索引用語
spontaneous gastric rupture, distal gastrectomy, complication
別刷請求先
大田 耕司 〒791-0280 松山市南梅本町甲160 四国がんセンター消化器外科
受理年月日
2008年9月24日
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