臨床経験
消化器癌患者における癌疼痛治療に対するオキシコドン導入パスの有用性
山田 岳史, 古川 清憲, 横井 公良, 真々田 裕宏, 瀬谷 知子, 牧野 浩司, 金沢 義一, 白川 毅, 田中 宣威, 田尻 孝*
日本医科大学千葉北総病院外科, 日本医科大学外科*
がん疼痛治療において,オピオイドは重要な役割を占める.しかしながら,オピオイドにはさまざまな副作用が少なからずあるため,緩和医療を専門としない医師にとっては決してなじみの深い薬剤ではない.我々はオピオイドの適正使用を目的として平成18年8月よりオキシコドン導入クリニカルパス(clinical pathway;以下,CP)の使用を開始した.同時期にオキシコドンが投与されたCP非使用例と比較し,CP使用例ではレスキューの設定率,非ステロイド抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs;以下,NSAIDs),緩下剤,制吐剤の併用率が高率であった.また,CP使用例では75.0%がCP開始5日以内にアウトカム(夜間良眠,安静時疼痛の消失,レスキュー投与が1日2回以内)が達成された.消化器外科医はCPの使用に慣れており,CPを使用することで不慣れながん疼痛治療をストレスなく施行することが可能であり,その結果,世界保健機構(World Health Organization:WHO)がん疼痛治療法の基本方針(レスキューの設定,NSAIDs,緩下剤,制吐剤の併用)の遵守率が向上した.
索引用語
clinical pathway, oxycodon, cancer pain
日消外会誌 42: 1448-1453, 2009
別刷請求先
山田 岳史 〒270-1694 印旛郡印旛村鎌刈1715 日本医科大学千葉北総病院外科
受理年月日
2009年1月28日
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