症例報告
肝外胆管に2度の孤立性再発を来した胆管腫瘍栓合併肝細胞癌の1例
金澤 寛之, 猪飼 伊和夫, 尾池 文隆, 阪本 靖介, 波多野 悦朗, 上本 伸二, 川上 史*
京都大学外科, 京都大学医学部付属病院病理診断部*
症例は72歳の男性で,術前黄疸を呈した肝外胆管腫瘍栓を伴う肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;以下,HCC)に対して肝右葉切除術および胆管腫瘍栓摘出術を施行した.術後8か月を経過した頃より黄疸が出現し,ERCPでは総肝管内に陰影欠損を認め,肝細胞癌の胆管内孤立性再発の診断で総肝管部分切除および腫瘍栓摘出術を施行した.術後7か月目,再び黄疸が出現し総胆管内に腫瘤性病変を認め肝外胆管切除および胆道再建術を施行した.病理組織学的には前回手術で胆管を部分切除した部位とは離れた胆管壁からの再発で,胆汁内に浮遊した腫瘍細胞の着床が原因と推察した.術後1年3か月経過するが再発の兆候はない.肝外胆管内に2回の孤立性再発を来した症例は極めてまれであるため報告した.
索引用語
hepatocellular carcinoma, bile duct tumor thrombosis, thrombectomy
日消外会誌 42: 1478-1483, 2009
別刷請求先
金澤 寛之 〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学外科
受理年月日
2009年1月28日
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