症例報告
肝切除により長期生存が得られた胆管癌肝転移再発の1例
新地 洋之, 又木 雄弘, 蔵原 弘, 前田 真一, 久保 文武, 迫田 雅彦, 上野 真一, 前村 公成, 夏越 祥次, 高尾 尊身*
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学・消化器外科, 鹿児島大学フロンティアサイエンス研究推進センター*
症例は41歳の男性で,1995年4月に下部胆管癌に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本の病理組織学的診断は中分化型腺癌,ly1,v1,pn1,pPanc1,pDu2,pN1,pHM0,pEM0のstage IIIであった.術後8か月の腹部CTにて肝S6に径1.6 cm大の転移を認め,Methotrexate(以下,MTX)と5-fluorouracil(以下,5-FU)による全身化学療法を5クール施行した.径3.8 cmへ肝転移巣の増大を認めたため,1996年4月肝部分切除を施行した.術後MTXと5-FU,Cisplatin(以下,CDDP)による予防肝動注化学療法を1年間施行した.さらに,2002年2月まで全身化学療法を行った.肝転移再発切除後12年経過した現在無再発生存中である.肉眼的に完全切除の可能性のある症例に対しては,積極的に切除し,術後肝動注療法などの集学治療を行うことが長期生存につながる可能性が示唆された.
索引用語
bile duct cancer, hepatectomy, liver metastasis
日消外会誌 42: 1501-1505, 2009
別刷請求先
新地 洋之 〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘8-35-1 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍制御学・消化器外科
受理年月日
2009年2月18日
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