症例報告
虫垂に発生した孤立性過誤腫性ポリープの1例
野中 隆, 福岡 秀敏, 竹下 浩明, 澤井 照光, 林 徳眞吉*, 日高 重和, 七島 篤志, 安武 亨, 永安 武
長崎大学大学院腫瘍外科, 長崎大学医学部・歯学部附属病院病理部*
患者は無症状の60歳の男性で,胃癌術後の経過観察中に受けた大腸内視鏡検査で盲腸の虫垂開口部より脱出する隆起性病変を指摘され,精査加療目的で当科紹介となった.注腸造影X線検査では粘膜下腫瘍様の隆起の中心に腫瘍性病変を認め,腹部CTでは造影効果を伴う腫瘍であった.虫垂腺腫の診断で腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した.病変は10×8 mmの有茎性ポリープであり,組織学的には粘膜筋板の分枝が樹枝状に増生した異型のない腸粘膜を伴う腫瘍で,過誤腫と診断された.虫垂過誤腫性ポリープの症例はまれであり,色素沈着や家族歴を伴わない症例については現在まで1例が報告されているのみである.Peutz-Jeghers症候群に伴う虫垂過誤腫の本邦報告例4例と合わせて報告する.
索引用語
hamartoma, appendix, Peutz-Jeghers syndrome
日消外会誌 42: 1523-1527, 2009
別刷請求先
野中 隆 〒852-8501 長崎市坂本1-7-1 長崎大学大学院腫瘍外科
受理年月日
2009年1月28日
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