症例報告
18-F fluorodeoxyglucose positron emission tomographyが診断に有用であった大腸癌術後鼠径ヘルニア嚢転移の1例
高見澤 潤一, 久世 真悟, 京兼 隆典, 柴原 弘明, 檜垣 栄治
袋井市立袋井市民病院外科
症例は74歳の男性で,2006年1月にS状結腸癌に伴う穿孔性腹膜炎に対してハルトマン手術が施行された.2007年10月よりCA19-9の上昇を認めたため,US,CTを施行したが明らかな再発巣を指摘できなかった.18-F fluorodeoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET)を施行したところ,膀胱右腹側,右鼠径ヘルニア嚢内それぞれに異常集積を認めたため,腹部CTを再検討したところ,同部位に結節影を認め大腸癌の腹膜転移再発と診断した.開腹すると拇指頭大の結節が腹膜を巻き込み,鼠径ヘルニアの門を閉塞していた.また,鼠径管を開放すると拇指頭大の硬い結節を内容とするヘルニア嚢が確認された.腹腔内,鼠径管より腹膜転移巣を腹膜とともに一塊として切除した.病理組織学的に腫瘤はともに中分化腺癌であり,大腸癌の腹膜転移と診断した.経口による補助化学療法を施行し,術後8か月が経過したが,再発なく外来通院中である.
索引用語
inguinal hernia, metastatic saccular tumor, FDG-PET
日消外会誌 42: 1534-1538, 2009
別刷請求先
高見澤潤一 〒437-0061 袋井市久能2515-1 袋井市立袋井市民病院
受理年月日
2009年1月28日
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