症例報告
胃癌を合併した腹腔動脈瘤の1手術例
木村 豊, 星野 宏光1), 矢野 浩司, 岩澤 卓, 團野 克樹, 加納 寿之, 大西 直, 中村 隆2), 門田 卓士, 今岡 真義
NTT西日本大阪病院外科, 大阪大学消化器外科1), 田仲北野田病院外科2)
症例は63歳の男性で,スクリーニングのための上部消化管内視鏡検査で胃角部小彎のType 0 IIcの早期胃癌と診断された.腹部造影CTで2 cm大の腹腔動脈瘤を認めた.腹部血管造影検査では腹腔動脈に2 cm大の嚢状の動脈瘤を認め,動脈瘤から総肝動脈,左胃動脈,脾動脈が分枝していた.胃癌を合併した腹腔動脈瘤の診断で幽門側胃切除術,動脈瘤切除,総肝動脈―脾動脈吻合による血行再建を行った.腹腔動脈瘤は内弾性板の断裂した嚢状動脈瘤で,胃癌は管状腺癌:高分化型でType 0 IIc,T1(M),N0,H0,P0,CY0,M0,Stage IAの診断であった.腹腔動脈瘤は比較的まれな疾患で,胃癌を合併した腹腔動脈瘤に対して瘤切除および幽門側胃切除術を同時に行った報告例は本症例のみであるので文献的考察を加えて報告する.
索引用語
celiac artery aneurysm, gastric cancer, distal gastrectomy
日消外会誌 42: 1545-1549, 2009
別刷請求先
木村 豊 〒543-8922 大阪市天王寺区烏ヶ辻2-6-40 NTT西日本大阪病院外科
受理年月日
2009年1月28日
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