症例報告
腰部鈍的外傷と外傷に起因した2度の開腹術後に発生したheterotopic mesenteric ossificationの1例
林 泰寛, 高村 博之, 中村 慶史, 藤田 秀人, 二宮 致, 西村 元一, 藤村 隆, 萱原 正都, 太田 哲生
金沢大学附属病院消化器外科
Heterotopic mesenteric ossification(以下,HMO)は腸間膜に広範な類骨形成を伴う非常にまれな疾患である.今回,HMOの1例を経験したので報告する.症例は40歳の男性で,多発骨盤骨折後,腹腔内出血および腸管損傷疑いにて2度の試験開腹術を施行した後に腸閉塞を発症した.保存的治療で改善を認められなかったため,第15病日に腸閉塞解除目的に手術を施行したところ,小腸が強固に癒着して一塊となり腸閉塞の原因となっていたため腸管切除を行った.切除標本の組織像では間膜の線維増生が強い部分のところどころに,軟部組織の骨化性筋炎像に類似した骨形成が認められ,骨芽細胞を伴う類骨あるいは線維骨が多発性に認められたためHMOと診断された.術後,軟部組織の異所性骨化も認めたことからNSAIDs,Cimetidineの内服が開始され,現在のところ再発は認められていない.
索引用語
heterotopic mesenteric ossification, ileus, cimetidine
日消外会誌 42: 1621-1625, 2009
別刷請求先
林 泰寛 〒920-8641 金沢市宝町13-1 金沢大学附属病院消化器外科
受理年月日
2009年2月18日
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