症例報告
メッシュプラグを用いた閉鎖孔ヘルニア修復術後に再発を来した1例
川井 覚, 山中 秀高, 石坂 貴彦, 鬼頭 靖, 松永 宏之, 朝本 はるる, 神谷 里明, 松崎 安孝
津島市民病院外科
症例は85歳の女性で,2年前に両側閉鎖孔ヘルニアに対しメッシュプラグを用いた修復術の既往あり.今回,左下腹部痛,嘔吐を主訴に受診し,腹部CTで閉鎖孔ヘルニア再発による嵌頓と診断され,緊急手術を施行した.開腹時,嵌頓は解除されていたが,両側の閉鎖孔は開大しており,両側ともに収縮,硬化したメッシュプラグと思われる硬結を触知した.右側はヘルニア嚢を反転しメッシュプラグとヘルニア嚢を切除し,シート状メッシュを用い修復した.左側はヘルニア嚢の反転切除ができず,ヘルニア門を直接縫合閉鎖し,さらに膀胱の一部を縫着し修復した.再発の原因は,前回手術で挿入されたメッシュプラグの収縮によるものと思われ,手術の際少なくともメッシュプラグの固定が必要で,再発の可能性も念頭におくことが肝要と思われた.閉鎖孔ヘルニアに対しメッシュプラグを用いた修復術後の再発の報告はなく,非常にまれな1例と思われ文献的考察を加え報告する.
索引用語
obturator hernia, mesh plug, recurrence
別刷請求先
川井 覚 〒496-8537 津島市橘町3-73 津島市民病院外科
受理年月日
2009年5月27日
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