症例報告
S状結腸癌副腎転移との鑑別に難渋した副腎原発腺腫様腫瘍の1例
塩見 明生, 絹笠 祐介, 齊藤 修治, 橋本 洋右, 富岡 寛行, 上坂 克彦1), 寺島 雅典1), 朝倉 弘郁2), 佐々木 恵子3)
静岡県立静岡がんセンター大腸外科, 同 消化器外科1), 同 画像診断科2), 同 病理診断科3)
症例は65歳の男性で,貧血の精査でS状結腸癌とともに,左副腎に3 cm大の境界明瞭な充実性腫瘤を認めた.副腎腫瘤は造影CTで後期相まで造影効果が遷延し,MRIでT1強調・T2強調画像ともに等信号を呈した.また,positron emission tomography/computed tomographyで異常集積を認めた.以上から,S状結腸癌および副腎転移と診断し,S状結腸切除および左副腎摘出を施行した.副腎腫瘍の病理組織学的検査結果は,扁平~立方状の腫瘍細胞が大小の管腔を形成しており,免疫組織学的にAE1/AE3(+),Calretinin(+),Vimentin(+),CD31(-),D2-40(-),S-100蛋白(-)の中皮由来腫瘍で,副腎原発腺腫様腫瘍と診断した.副腎原発腺腫様腫瘍はまれで,28例の報告があるが,その画像的特徴を詳細に述べた報告は過去1編のみである.
索引用語
adenomatoid tumor, adrenal metastasis, colon cancer
別刷請求先
塩見 明生 〒411-8777 駿東郡長泉町下長窪1007 静岡県立静岡がんセンター大腸外科
受理年月日
2009年9月16日
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