症例報告
食道切除術・結腸再建術後の残胃癌・肝癌同時切除を施行した多重癌の1例
井ノ口 幹人, 中村 典明*, 加藤 敬二, 永井 鑑, 中島 康晃, 山田 博之, 小嶋 一幸, 川田 研郎, 西蔭 徹郎, 河野 辰幸
東京医科歯科大学食道胃外科, 同 肝胆膵外科*
症例は76歳の男性で,既往歴として36歳時に胃癌で幽門側胃切除術,Billroth-I法再建術,63歳時に食道癌で食道亜全摘術,胸壁前結腸再建術,74歳時に肺癌で左肺上葉切除術を受けていた.肺癌手術時にCTで肝左葉外側区域に2個の腫瘤を認めており,経過観察されていたが次第に増大し,血管造影下CTで肝細胞癌と診断された.また,上部消化管内視鏡検査で0IIc型の残胃癌があり,生検は低分化型腺癌および印環細胞癌であった.術前深達度はSMと診断した.手術は残胃全摘術,肝外側区域切除術を施行した.再建結腸の血管である左結腸動静脈のpedicleを温存して残胃を摘出した.次いで肝外側区域切除術を施行した.再建は結腸前Roux-en-Y法で再建結腸と空腸を吻合した.食道切除・結腸再建後の残胃癌手術の報告はまれであり,また本症例は4臓器にわたる8多重癌であり文献的考察を加えて報告する.
索引用語
gastric remnant cancer, hepatocellular carcinoma, esophageal cancer
別刷請求先
井ノ口幹人 〒113-8519 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学食道・胃外科
受理年月日
2009年12月16日
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