症例報告
リンパ節転移に肉腫成分を認めた真性胃癌肉腫の1切除例
藤國 宣明, 江藤 高陽, 小出 圭, 黒田 慎太郎, 大石 幸一, 角舎 学行, 福田 三郎, 先本 秀人, 高橋 信
中国労災病院外科
症例は69歳の女性で,眩暈・体重減少(10 kg/20か月)を主訴に,近医より当院へ紹介受診された.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部前壁に径8 cm大の1型腫瘍を認め,低分化型腺癌の診断で幽門側胃切除術を施行した.腫瘍は,乳頭状あるいは腺管配列を示す腺癌部分と異型類円核を有する紡錘形細胞が腺癌細胞を取り囲みながら増殖する肉腫部分の混在よりなり,病理組織学的に真性胃癌肉腫の診断であった.リンパ節転移部分にも癌肉腫を認めた.免疫組織学的にも,肉腫部分はケラチン陰性で,抗平滑筋抗体陽性であった.本邦では,今まで約50例の胃癌肉腫が報告されているが,真性胃癌肉腫の報告は本例を含めて12例のみである.今後の症例の蓄積による疾患概念・治療法の確立が望まれる.
索引用語
true gastric carcinosarcoma, metastatic lymph node, distal gastrectomy
別刷請求先
藤國 宣明 〒734-8551 広島市南区霞1-2-3 広島大学病院第二外科
受理年月日
2009年12月16日
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