症例報告
異時性発生を認めた胆管乳頭腫症の1例
福田 三郎, 小出 圭1), 向井 正一朗, 大石 幸一2), 藤崎 成至, 有田 道典, 先本 秀人, 江藤 高陽, 高橋 信
中国労災病院外科, 中電病院外科1), 土谷総合病院外科2)
症例は68歳の女性で,66歳時,左肝管内に限局する乳頭状隆起性病変を認め,術中の胆道鏡では,右肝管,総胆管内には病変を認めなかったため,左葉切除を施行した.病理組織学的には,胆管被覆上皮の乳頭状増殖を示すものの浸潤性増殖像は認めず,胆管乳頭腫症と診断された.退院後半年に1度,CTでフォローしていたところ,2年後のCTで下部胆管に淡い造影効果を示す結節陰影を認めた.Endoscopic Retrograde Cholangiograpy(ERC),Magnetic Resonance Cholangiopancreatography(MRCP)で下部胆管内に12 mm大の不整形の隆起性病変を認めたため,下部胆管に発生した胆管癌を疑い,膵頭十二指腸切除を施行.病理の結果,病変は前回と同様に乳頭状増殖を示し胆管乳頭腫症と診断された.胆管乳頭腫症は胆道の良性疾患として分類されているが,悪性転化の報告があり,癌に準じた根治的切除が必要と考えられているが,本症例のように根治的切除がなされた後でも異時性に発生することもあり,注意深い観察が必要と考えられる.
索引用語
biliary papillomatosis, asynchronous recurrence, treatment
別刷請求先
福田 三郎 〒737-0193 呉市広多賀谷1-5-1 中国労災病院外科
受理年月日
2009年11月18日
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